ずいぶんと間が空いてしまいました。
嶋田洋平さんの『ほしい暮らしは自分でつくる ぼくらのリノベーションまちづくり』を読んで、色々と感じるところ、思うところがありました。
まちの中にある遊休不動産を資源化し、リノベーションし、魅力的な拠点ができると、そこを起点に地域が変わっていく。半径数百メートルの間に魅力をつなぐこと。

そうしう中で地域にお金を回していくことで生活できるようにしていくこと。
全国各地に広がりを見せ、岡崎市なども取り入れようとしている、「リノベーションまちづくり」という取り組み。
実際のところ、空気感や”バイブス”みたいなものは現場に行ってみないとわからないよなぁ。ということで、以前から気になっていた長野の「リビルディングセンタージャパン」(諏訪市)と「マスヤゲストハウス」(下諏訪)、その他福岡市や北九州の小倉へと、視察旅行(a.k.a 自腹旅)に行ってきました。

リビルディングセンタージャパン

リビルディングセンタージャパン(外部リンク)

リビルディングセンター外観

“レスキュー”のニーズや集まる速度に販売速度が追いつかないため、開店後初めての半額セールを行うということで、いろいろと参考になりそうなので、視察もかねて3月に長野県の店舗へ行ってきました。

「リビリディングセンター」には本家があって、もとのリビリディングセンターはアメリカ、ポートランドにあるリサイクル建材を扱う場所です。非営利団体による活動で、写真で見る限りですが、バスタブやトイレ、床材やドアノブ、解体現場から手作業で回収された素材を扱うDIY好きにはたまらないお店です。(そういえば最近読み返して気がついたんですが、『Spectator』の2009年「FROM OREGON WITH DIY」という特集号にはすでに載っていて、流し読みしていて正直最初に読んだときはピンときていませんでした。
ポートランドは「小商い」とか「サードウェーブコーヒー」とかの流れもあって、ここ数年、デザインの流行の中心地みたいに存在感を発してる感じです。しばらくそれが続いているのはやっぱり持続可能で人間中心な考え方が今のライフスタイルに合っていたり、何かを示唆しているからなんだろうな。)

 

その本家リビセンに影響を受け、名前の使用許可を取ってリビルディングセンタージャパンを始めたのが、代表の東野唯史さん。クラウドファウンディングによる資金調達や多くの人の協力で2016年の秋にオープンしました。

先日大ナゴヤ大学のイベント(2017/2/11『憧れの「つくる」暮らし 〜電力・住・食 編〜』)で東野さんのお話を聞きにいったところ、古材を”回収”ではなく”レスキュー” するといっていたのがとても印象的でした。もともとデザイナーで空間設計などをやっていた方で、その場に行って滞在し、たくさんの人と一緒に建築や空間作るということも興味深く、同じく諏訪地区にある、東野さんが手がけた「マスヤゲストハウス」にもいつか泊まってみようと思っていました。

コンテンツとしての空間

もう一つ、マスヤゲストハウスという素晴らしい東野唯史さんがリノベーションを手がけたゲストハウスにも泊まったのですが、リビセンまででやめておきます…。
(マスヤゲストハウスのホスピタリティには大変感動しました。他の宿で感じたことのない感覚で、素晴らしい宿とスタッフでした。人に会いに旅行をする人たちのことがわかりました。)
マスヤゲストハウス(外部リンク)
結論としてはマスヤゲストハウスに宿泊したことと、リビルディングセンターを見たことで、今後の自分の活動方針がなんとなく決まりました。

僕は、「アフォーダンス」というか環境による誘引の力というものをものすごく信じています。
まちでいくと、良い場、良い空間が生まれ、それが周囲に点として溢れ出して、連続的に繋がっていることで、地域がよくなっていく。魅力的な場所には、お店だったりスペースだったりゲストハウスだったり、起点は様々ですが、そういう流れがある気がします。
そういう意味で、「リノベーションまちづくり」というのは、記号的で、メディアデザイン的でもあるのだと感じています。空間もコンテンツも、もはや変わらない。
空間もIoT(「Internet of Things」=モノのインターネット)が進むことで仮想度が増したり、携帯電話などの画面を含め、ディスプレイが空間に溢れてくることやスマートフォンやSNS越しに世界を見ることで、世界そのものが映像メディア的になっています。

現代・現時点において、空間というのはとても強力なメディアでありコンテンツになっています。
空間やコミュニティまで含めた動線設計や関係性のデザインを考える必要があるんだと言語化できました。なので今後は、これまでのWebなどのデジタルコンテンツ制作業務中心から、徐々に地域のデザイン、拠点の整備、移住を考える人や地域の人などの”人”へのシフト(業務領域の拡大)をおこなっていくことになるのだと思います。

おまけ:リビルディングセンタージャパンの写真

リビルディングセンター外観